相続税額を簡単な数式で表すとこのようになります。
相続税額=(相続財産-一定の控除金額)×税率
換金可能かどうかに関係なく相続財産(相続時の時価に評価しなおした金額)に対して課税されるわけです。
また、相続税納付は原則として現金で行うため、
不動産や自社株式など瞬時に換金できない財産が多い場合は、
納税資金が不足し、納付できない場合も多々見受けられます。
相続税の支払いは、相続発生から10ヶ月以内に申告して納付しなければなりませんから、
換金に時間がかかる資産が多い場合は、十分な事前対策が必要です。
その他にも相続人が複数存在している場合も対策が必要です。
例えば、兄弟二人の子供のうち後継者が長男である場合、遺言書で「すべての財産を長男に譲る」と遺していたとします。
この通りになると後継者ではない弟は、何ももらえなくなってしまいますから、
遺留分減殺請求をすることで遺留分を取得する権利を得るわけです。
こうなった場合、長男はこの遺留分として取得させる資産を確保しなければなりませんが、
ここでも換金性が乏しい資産が多くを占めていると資金難に陥ってしまいます。
本来なら、長男には事業承継させるために会社関係の資産を残し、
弟には会社とは関係のない財産を確保することがベストなのです。
これらの事例からもわかるように、換金に時間を要する財産が多い場合は、相続対策を早めに行う必要があるのです。