創業者や先代経営者の「老害」

本当に失礼な言葉ですよね!

必死に頑張ってこられた創業者や先代に対して「老害」とは!

老害=高齢者に対する蔑称で、反意語が老益

世代交代が図れず老朽化した『組織』に向けて使われる言葉で、

能力の衰えた高齢者が社会や組織の中で活動の阻害をする際に使われます。

創業者や代表取締役がトップに居座り続け、世代交代が進まない企業などでも使われているのです。

事業承継では、実はよく聞く言葉なんですよ!

ここで後継者を他社から招いた会社の事例をお話しします。

資本金  1000万円

従業員  12人

当時の現経営者の年齢    70歳

当時の後継者の年齢       38歳

業種・業態:設備機械のメンテナンス業

【社長談】

私は、今年で70歳になり、創業から25年を経過しましたが、まだまだ元気満々で社長をしておりました。

当社は、特殊な分野のメンテナンスの仕事が多いため、経営内容は上々で、利益準備金も積み上がっています。

しかし残念ながら、私たち夫婦には、子どもを授かることができませんでした。

そのため10年前に、妻の実家から遠縁にあたる者を後継者候補として入社させました。

しかし、技術者で経営には興味がなく、とうとう承継を拒否したので、他から後継者を探すことにしたのです。

①後継者候補がいない場合

平均して、経営者の十数組に1組は、子どもがいないそうです。

そうなると、後継者選びは、重要な経営課題として認識され、早めに事業承継を考えなければなりません。

その選択肢は、

〇親戚筋から血縁者を入れる

〇従業員の中から選ぶ

〇同業者に紹介を依頼する

〇取引先や発注先から探す

〇ヘッドハントする

この会社では、たまたま知り合った取引先のサラリーマンだった人物を「引き抜いて」入社させました。

②他人への株式譲渡の注意点

後継者として選んだ人物は、当社に原材料を卸す大会社の担当者でした。

業務知識もあり、管理職としての知見も高く、業務能力も十分なために「この人物だ」と直感した私は、3年をかけて口説き落として、当社へ来てもらいました。

ところが、後継者は「聞くと見るとは大違い」をまざまざと体感したようです。

入社してからは、現実とのギャップに苦しんでいましたが、持ち前の努力で何とか会社に溶け込んでくれました。

私は、入社時に後継者に株式の34%(会社法上の1/3以上のライン)を買わせようとしました。

その後、10年かけて分割払いを受け取り、最終的には死亡時遺贈契約書を記入するという、事業承継計画書を作成したのです。

しかし、残念ながら、後継者はサラリーマンでしたから、株式購入資金が手元にありませんでした。

③事業承継のための資金準備

そこで、「経営承継円滑化法の金融支援」を受けることにしたのです。

そして、事業承継に必要な株式買い取りの資金(M&A、継承のための特別費用)を賄う事業承継別枠資金などが融資されることを知りました。

個別企業ごとに審査があるため不可能な場合もありますが、従来の融資とは別に、新たな信用保証枠を創設することができるそうです。

信用保証協会と日本政策金融公庫が、実行の窓口となっています。

④ソフトな事業承継とは

後継者の教育や業界への顔つなぎは、社長としての最後の重要な仕事となりました。

信頼関係や取引の信用を従来通りに取り付けることが、今後の営業を楽にするからです。

私は、後継者の成長を願って、最善を尽くしました。

ところが、新社長が、自他共に認められトップとしての機能を立派に果たし始めると、何とも言えない「焦燥感のような思い」に襲われました。

お恥ずかしい話ですが、私はこれまでの態度を一変させ、後継者のやり方に異を唱え、邪魔をする、勝手に従業員に命令する、取引先に一人で出かけて愚痴を言ったりするなどの経営への手出し、事業承継の阻害行為である「老害」を行ってしまいました。

⑤引退後の人生設計は不可欠

なぜ、こんなことをしてしまったのでしょうか?

創業者の悲哀です。

自分の人生そのものといえる会社を他人の手に渡すことへの反発だったのでしょうか?

それよりも創業者としての想いが残り、燃え尽きない仕事への情熱のガス抜きが不十分だったのです。

人間は万能ではありませんし、ましてや「感悄の生き物」です。

人に会社をあげるという行為は、「奉仕の心」と「哲学的な達観」が必要になります。

この出口戦略は、現社長のハッピーリタイアの演出です。

たとえば、研究所や一般社団法人や特定非営利活動法人(NPO)を設立する方法などもあります。

今までのように、経営者としての責任感や利益追求の義務感から少し離れて、社会貢献を大きな目的に働く場所を探してください!

何かに没頭できる事が見つかれば、次のようなことから解放されます。

①会社を辞めたら行く場所がない。肩書がない。名刺がない。

②生きている目的が見つからない。張り合いがない。

③仲間や飲みに行く相手がいない。

④年金以外の収入がない。自由に使える経費がない。

⑤誰かに褒めてもらいたい。人の役に立ちたい。

何よりも.人の役に立つ充実感が手にできるのです。

逆に、会社にしがみつくことは「老害」につながります。

それよりも新しい自分の世界を作って活動領域を広げ、「老益」になってほしいものです!