意外に難しい社内の他人(従業員、役員)への事業承継!

国もいよいよ親族外承継に関しても手厚いサポートを打ち出すようです。

西日本新聞で以前以下記事を出していました。

事業承継 親族外も支援

株譲渡時の税軽減 新規事業に補助金

身内に後継ぎがいない中小企業の世代交代を促すため、親族以外の「第三者」への事業承継について政府が包括的な支援策を検討することが13日、分かった。

株式譲渡時の税負担を軽くするほか、承継に合わせた新規事業の立ち上げや事業再編に必要な費用を補助する。

親族内での承継支援を軸とする現行制度を大幅に拡充することで経営者が高齢になった中小企業の廃業を食い止め、ものづくりの技術伝承や地城の雇用維持を狙う。

中小の雇用維持へ 政府検討

中小企業庁が8月末に示す2020年度の税制改正要望と予算の概算要求に盛り込む。

年末にかけて財務省と協議し、詳細を詰める見通しだ。

25年には中小企業の経営者のうち約6割に当たる約245万人が70歳以上になると見込まれる。

政府は18~19年度税制改正で中小、個人事業主が子どもらへ事業を譲る際に相続税などの納税を猶予する特例を用意したが、親族内で引き継げない企業への対応が残る課題になっていた。

20年度改正では親族以外への引き継ぎで、株式譲渡所得にかかる税率20%の軽減を検討。

事業を譲り受ける側の負担にも配慮し、登記にかかる登録免許税と不動産取得税の軽減特例について、20年3月末に迎える期限の延長を議論する。

雇用や経営資源を引き継ぐ一方で不採算事業をリストラする必要が生じた場合、先代経営者が払う廃業費用を補助する。

親族内での承継を含め、後継者が新たに革新性の高い事業を始めるケースは、既存の補助金の支給率を引き上げてバックアッブする。

外部から後継者を招こうと模索する中小経営者を対象に、仕事ぶりや知見を伝える目的で一定期間、候補者を試しに雇用するための費用を補助することも考える。

一方、通常の企業の合併・買収(M&A)と区別するため、事業を譲る側に年齢要件を設けたり、事業承継計画の提出を求めたりするなど、優遇を受けるための基準作りが検討課題になる。

今日は、この新聞記事を基に親族外承継について書いてみたいと思います。

意外に難しい社内の他人(従業員、役員)への事業承継!

事業承継を細分化すると8パターン存在します。

A親族内承継

①親➝子供

・・・全体の50%近くを占める主流

②親➝義理の子供(娘婿など)

③親➝傍系相続

(甥・姪、はとこなどの遠縁)

④親➝妻、兄弟など同世代

B他人への承継

役員・従業員・ヘッドハンティングなど

⑤親➝社内の他人(従業員、役員)

・・・最近増加の一途をたどる

⑥親➝他社から招いた他人

⑦親➝M&A・営業譲渡

(他社の傘下で存続か合併)

C廃業・清算

⑧親➝自己責任で廃業・休業・清算

 ・・・年間3万件

さて、親族内に後継者候補が見つからない場合は、B他人への承継を検討しなければなりません。

最近増加の一途をたどる⑤親➝社内の他人(従業員、役員)の特徴を簡単に解説します!

特徴としては、

・資質のある方を選択できるので選択肢が広がります。

・社内外の理解が得やすくなります。

・事業に精通していているので、教育期間が短くてすみます。

しかし、

・多くの場合、資金力がありません。

・借入金などについて、個人保証をしなければならず覚悟がなかなかできません。

 社内の他人(従業員、役員)が後継者になる場合、社長という地位を受け継ぐだけではなく、株式も取得しなければ実質的に会社を所有することにはなりません。

 この問題を解決しない限り、後継者となることができないのが現実です。

ある社長が「やっと後継者が社員から社長が誕生した!」とホッとした表情で言われたので・・・

詳細を尋ねてみると、社長と言う役職だけで、株主問題も個人保証問題も何も解決されていなかったのです!

これでは、事業承継を完了したとは言いません。

単なる役職名が変わっただけだったのです。

社内の他人(従業員、役員)への事業承継方法としてのEBO!

この問題を解決するために従業員が株式をすべて取得するという方法があります。

従業員が株式を取得することで所有と経営の両方を得ることができるわけです。

最も一般的な方法としては、「EBO(Employee Buyout)」=従業員が株式を買い取る方法です。

しかし、この方法は、資金が不足することが多いという問題があります。

その対策として

・従業員を後継者とした場合、報酬を増額し、将来の株式取得のための資金を確保する。

・株式買取資金を後継者である従業員の能力や事業価値を考慮して、金融機関などに出資を求める。

・株式を現経営者から従業員に贈与や遺贈する。

以上のようなことが考えられます。

皆さんの会社でこれらの方法で後継者に委ねたいと思えるくらいの従業員の方はおられますか?

社内の他人(従業員、役員)への事業承継方法として「種類株式」活用!

従業員に株式を購入する資金がない場合、とりあえず現経営者が株式であり続けるという選択肢があります。

この方法をとると後継者(従業員)にバトンタッチ後も現経営者が株主として重要事項決定に影響力を持つことにもなるうえ、株主総会で解任もできるために・・・

従業員かが不安になり、承継自体を断ってしまう可能性もあります。

これを避けるために「種類株式(権利内容が異なる株式)」を活用するのです。

例えば、現経営者が種類株式のうち、「議決権制限株式」を持つようにすることで経営の決定には口を挟まない状況を作ることもできます。

しかし、最終的には株式を後継者である従業員が確保しなければ、事業承継は完結しないために、資金確保するために時間を稼ぐ意味合いではよいかもしれません。

社内の他人(従業員、役員)への事業承継の問題点!

従業員に承継する場合、経営に精通しているので承継期間が少なくて済むというメリットはありますが、問題も多く抱えるのがこの承継です。

まず、現経営者と共に歩んできた従業員であれば、高年齢である可能性があります。

事業承継は、20歳以上の若返りが理想ですので、これ以下であるとまた事業承継気を迎えるので意味がありません。

また、現経営者が従業員に株式を遺贈した後に、現経営者に万が一のことがあれば、そのことを承知していない相続人(子供たち)が従業員後継者に遺留分減殺請求をした場合、その資金を用意しなければならずに経営から手を引かなければならない可能性もあります。

(※遺留分減殺請求:法定相続人(兄弟姉妹除く)には、最低限度の遺産に対する取り分が法律によって確保されていることを遺留分と言い、その遺留分を請求すること。)

また、デメリットとすれば、前述したように無議決権株式(種類株式)と普通株式の併用をしている場合、新経営者(元従業員)が承継したとたんに新株式を次々と発行して旧経営者の保有する株式割合を低くしてしまう場合も想定しなければなりません。

この対策として、普通株式を手放すのではなく、新株発行などの特別決議に対して拒否ができるように議決権全体の1/3を超える株式は保有しておくことも大切かも知れません。

事業承継の場合、株式問題はとても重要です。

公平性を保つためにも、ぜひ第三者(事業承継士)を絡めて対策してください。

どうでしたか?

意外に難しい従業員への事業承継ですが、国がどこまで支援してくれるかで様相が一変すると思います。

これらの対策を打つためにも「事業承継を決断」することが一番大切です。

早い決断こそが事業承継の肝です!