事業承継の考え方とその流れ、経営承継計画書の作成手順を中心にお話しさせていただきました。

下図の「事業承継の俯瞰図」をご参照ください。

事業承継士として、この俯瞰図をもとにご指導させていただいています。

・事業価値判断

事業承継というとすぐさま後継者問題と思われがちですが、一番大切なことは、この事業に承継する価値があるか?ということを判断することなのです。

もし、赤字が連続していたり、将来的に成長する可能性が低かったり、借入が多すぎて返済の見込みが立たない場合など・・・果たして事業を承継することが正しいのでしょうか?

とても悩ましい判断になるのですが、ここを疎かにして無理やり承継しても後継者はさらに苦しむだけなのです。

我々が立ち上げている『福岡事業承継ソリューションズ』では、社長・社長夫人・後継者・経営幹部を交え、経営戦略の再構築のお手伝いも掲げています。

その結果、拡大成長の可能性があれば、この事業価値はあると判断し、戦略的中期経営計画を具体的に作成し、モニタリングを継続的に支援いたします。

将来的な展望もないのに後継者に委ねるのはあまりにもかわいそうではないでしょうか。

ましてや借入金が多額であれば返済できる可能性を先代社長の経験と後継者の新しい感覚で長期にわたる返済プランまで作成することが必要だと考えます。

そして、もし事業価値を見いだせない場合は、廃業を含めた撤退策も検討しなくてはなりません。

勇気ある撤退は戦略のひとつだと考えています。

破産や廃業の現場に立ち会って感じるのは、「もっと早く手を打っていればこれまで追い込まれなくても済んだのに!」という感想です。

国も経営者保証ガイドラインなどを用意して、経営者の保証も手厚くしています。

こんなことも知らずに一人でもがき苦しんでいる経営者は実際に多いのです。

年間廃業3万人、自殺者1万人です。

世間体やプライド、義理人情、仕事を失ったときの生活など様々な葛藤があることも理解できます。

しかし、早めに手を打てば迷惑をかける方を最小限にとどめることも可能です。

先日、ある税理士さんとお話しした時に「この会社はもう終わっていると思っても、そんなこと言えませんよ!それは、経営者が決めることですし・・・」とおっしゃっていました。

福岡事業承継ソリューションズでは、背中を押してあげることもコンサルと決めていますので、嫌われても本音で進言したいと考えています。

・後継者判断

さて、いよいよ後継者判断です。

いるかいないかというよりも後継者としてふさわしいかどうかだと考えます。

複数のお子さんが後継者候補でおられる場合に我々が用いるのは、「後継者アセスメント」です。

IQ(知的レベル)・EQ(経営への思いの強さ)・経験(経営者としての年数)・・・これらを点数化して後継者候補のうち、誰がふさわしいかを社長と社長夫人と議論させていただきます。

もちろんお二人のご意見を優先させることは当然ですが、客観的な意見を反映させることも大切だと考えているからです。

また、社内に後継者候補がいるのに社長のモノサシで力不足と感じ、いないとおっしゃる社長さんもおられます。

しかし、誰しも最初から素晴らしい経営感覚を備えているわけではありません。

であれば、後継者としてしっかり教育していくことが大切ではないでしょうか?

社内でOJTで育てることも大切です。

社外の勉強会に計画的に参加させることも大切でしょう。

社長にとって必要な能力を一つだけ答えなさいと言われれば・・・私は、「戦略構築力」だと即答します。

外部環境・内部環境・我社の強みと弱みを冷静に分析して、これからの生きる道を描ける能力だと思います。

戦略を構築し、中期経営計画に落とし込み、実行し、改善し、目標達成へ向けてこだわり続けることが後継者にとって最も重要です。

たまに営業でトップになってから、技術力で社内でナンバー1になってから・・・とずっと社員の一人として社内で戦わせている社長もおられますが、私は全部署を半年から1年で経験させることは大切ですが、競わせる必要はないと思います。

そんな優秀な社員をマネジメントする力を身につけさせることが大切なのではないでしょうか?