【事業承継】ペットショップ

後継者が家業の卸売業の会社を事業承継した際に子会杜として存在していた会社です。

熟帯魚好きな父親が設立した会社で、熱帯魚だけでなく、犬猫、小動物も扱う総合ペットショップでした。

親会社の事業と関連は若干ありますが、ノウハウや経営資源の点からは畑違いの事業だと思われます。

後継者は、父親の「道楽の会社」だと思っていました。

後継者が社長に就任するまで一度も減価償却をしたことがないにも関わらず黒字になったことがないという、絶望的な財務内容でした。

当然、債務紹過の額も相当な金額でした。

父親の役員借入金で資金繰りを回していたのです。

後継者が社長になって間もなく父親は亡くなりました。

この時「せめて亡くなる前に債権放棄してくれていれば・・・」と思ったほどです。

当時、中継ぎとして親会杜の社長をしていた親族からは、この会社は「清算した方が良い」と言われていました。

この会社は、お金がないから投資をしない、人も足りない、人が足りなくサービスレベルが低いから顧客満足が低い、顧客満足が低いから売上が少ない。

売上が少ないからお金がない、お金がないから投資をしない、という完全な“負のスパイラル”状態でした。

さらに、父親は絶対的な権力を持ったまま病気で引退してしまったので、意思決定権者もいない状況でした。

普通に考えたらこのタイミングで清算すべきだと思ったものです。

それでも売上が少ないとはいえ、当時としては大型の店舗だったのでお客さんは入っていました。

また、安い給料でも父親を慕ってくれて頑張っている社員のことを思うと清算する勇気もなかったので、会社を続けることにしました。

それと、親会社の将来性を考えるとペットショップの方が将来性はあると思ったことも事実です。

これまで資金繰りは役員借入金で回していたので、当然、私が前職で貯めていたお金や相続財産で回すことになりました。

このお金があったのは本当にラッキーだったと思います。

社員も閉店するのではないかと心配していて、モチベーションが低下していました。

後継者は、自分の覚悟を示すことも兼ねて、社員の意見を聞いて、小規模の投資や修繕を実行しました。

何年も投資を止めていたので少額の予算で解決できるものが山ほどありました。

もともと経営者不在の会社でしたので、しっかりと経営を続けていくだけで業績は良くなっていきました。

やる気のある社員の意見を重視して必要な投資を行ったことでいいお店になり、また、その結果、社員のモチベーションの向上につながったことが一番お要因だと思います。

後継者が社長に就任した当時の社員は7名、その直後に採用した社員が2名、人数も少なく、業績も今ほど良くはありませんでしたが、頑張ればどんどん売上が増えていく、振り返るとあの頃が一番楽しかったと思います。

後継者が社長に就任した当初から、ペット関連ビジネスは楽しいビジネスだと思っていました。

その一方で、盆正月も気が休まることはなく、一生続けていける仕事ではないとも思っていました。

社員は自らペットビジネスを選んで就職してきていますが、後継者自身は特にペットビジネスが好きで経営している訳ではないという葛藤を抱えていました。

本当にペットビジネスの好きな人が社長をやるべきだといつも思っていました。

どこかのタイミングで売却するか、誰かに全権を渡さないといけないと思っていましたが、とても売却できるような事業ではないと思っていました。

ところが、その後に路面店が集まる。商業施設に移転したことと、総合ペットショップから犬猫専門のペットショップに業態変更したことによって、売却可能な会社になっていることに気がつきました。

移転前の店舗は、創業当時は良かったと思いますが、徐々にリッチや店舗が時代に合わなくなってきていました。

また、熱帯魚部門は正直なところ儲かっていませんでしたが、閉鎖した時のマイナスイメージと無駄な空間が生まれてしまうことを考慮して継続していただけでした。

熱帯魚部門から撤退しない限り、将来の業績を安定的に考えることはできないと思っていました。

理想的な立地とビジネスモデル(犬猫専門のペットショップ)を確立したことで、売却を検討できるまでになったのです。

いざ売却しようと思った時、第三者への売却も考えましたが、社員の労働条件を継続的に守ってくれるような会社が購入してくれるとは思えませんでした。

この会社は、基本的に学生と主婦以外は全員正社員として雇用していたので、この労働条件の継続を前提とした売却は難しいと考えていました。

結局、当時の店長をしていた社員に事業承継することにし、社長に就任してもらいました。

その後継者は、創業間もない頃に入社して、ずっと実質的な店長をしていたので、そもそも私よりもこの会社の顔だった人物でした。

事業承継をしたことによって、他の社員のモチベーションが低下したり、業績が悪化したりするのではないかと心配していましたが、心配は不要で、むしろ今の方が良くなっています。

現社長は、店舗における仕事は優秀ですが、いわゆる経営者としての勉強をしたことはありませんでした。

その点の後継者教育が残っています。

また、親会社が事務をすべて請け負っていたので、事務の機能がまったく存在していません。

これまでの一連の事業承継とこの2点の問題を解決するために我々が関わりました。