事業を継続するか否かを判断する材料の1つとして、まずは会社・事業が儲かっているのか?という点を見ていく必要があります。
そのためには決算書の損益計算書をチェックします。
しかし、損益計算書の数字をただ見ればよいわけではありません。
まず大事なことは、節税対策などで計上した金額を除くなどして、実際の収益を知ることです。
例えば、次年度の売上を前倒しにしていたり、社長個人の交際費を計上していることがあります。
数字を1つずつチェックし、調整されている数字があればきちん修正してください。
実際の収益に修正した損益計算書のなかで最も重要な項目は、「営業利益」です。
営業利益とは、簡単にいうと「本業で稼いだ利益」です。
中心となる事業で稼いだ利益をいいます。
最終利益(当期純利益)には、保有不動産を売却して得た利益など本業以外の利益も含みます。
基本的には営業利益が黒字であれば、最終利益(当期純利益)が赤字であっても、事業を継続していく価値はあるといえます。
もちろん、その場合、最終利益の赤字の原因をつかみ改善する必要はありますが、それでも営業利益さえ黒字であれば、まだ「稼ぐ力」は十分にあり、事業外の突発的な出費を抑えて借金をどうにかできれば、事業を回していくことは可能です。
逆に、最終利益が黒字で着地していても、営業利益が赤字の場合は事業承継についてあらためて考え直す必要があります。
つまり、事業を続ければ続けるほど赤字が膨らむという状況です。
そのまま環境が好転せず、改善の余地がないのなら、早い段階で見切りをつける必要があります。
3期連続赤字となった場合にはすぐにでも廃業を検討すべきといえます。
《実際の収益にするためにチェックすべき項目》
①売上高:次年度の売上を前倒しにするなどの売上操作をしていないか?
②売上原価:実際は今年度支払うべきものを次年度に回していないか?棚卸資産を操作して利益調整をしていないか?
③販売費および一般管理費:減価償却を全額計上しているか?節税目的で社長の生命保険料を支払っていないか?社長個人の交際費が混ざっていないか?社長個人の自宅を社宅としで家賃補助をしていないか?
④営業外収益・営業外費用:事業には関係ないとしても継続・安定して入出金されているものはないか?
最終利益が黒字でも、営業利益が赤字の場合は事業継続の可否を考える必要あります。
とくに「営業利益が3期連続で赤字」「来期以降も赤字予想」の場合には、すぐにでも事業をやめることを視野に入れなければならないと考えます。